Public Lecture
市民公開講座

第29回低温物理学国際会議(LT29)は市民講座を開催し、研究によって得られた科学的知見を広く一般の皆様に公開し、科学的な活動に対するご理解とご支援をお願いしています。
今回の市民講座では、日本を代表する研究者である高木英典先生と中村泰信先生に、超伝導とよばれる物理現象に関する研究の面白さや研究者として抱く夢に加え、今日の研究成果が未来をどのように変えてゆくかという予想も交えてお話し頂くことになりました。
コロナウイルス感染拡大防止のために、ZOOMを用いたオンライン開催になります。どなたでもご参加頂けますので、下記のリンクから参加登録をお願いいたします。

日時:2022年8月21日(日)13:00-15:00

場所:COVID19感染拡大予防のためZOOMを用いたオンライン開催になります。

参加方法:
下記リンクの申し込みフォームから「参加登録」をしてください。ZOOMのアカウント情報参加方法を、登録されたメールアドレスにお送りします。
https://forms.gle/yexwbYnf8zPHGGc96

[1]超伝導の不思議とマジック

講師:高木英典
東京大学大学院理学系研究科教授、ドイツ・マックスプランク固体研究所共同所長

講演の概要:
「超伝導」は冷却した金属の電気抵抗がある温度(転移温度Tc)以下で突然ゼロになる現象です。超伝導状態は金属中の電子がペアを組んで、量子力学的な集団規律を守ることで出現します。かつて超伝導は絶対温度30 K以下の低温でしか生じない現象と考えられていました。しかし、銅や鉄の化合物など磁石に近い性質をもつ物質や100万気圧を超える高い圧力のもとに置かれた水素化合物が、場合によっては室温に達する、極めて高い温度で超伝導(高温超伝導)を示すことが発見されました。なぜこれらの物質で高い温度からペアが形成されるのか、その謎を解き明かし、さらに高い温度で超伝導を示す物質を発見する手がかりとすべく、白熱した議論が研究の最前線で展開されています。「超伝導」は面白くて、役に立つ現象です。超伝導体の示すゼロ抵抗などのマジックは、エネルギー損失の小さな送電、医療用のMRIやリニアモーターカーに使われる磁石、高感度の磁気センシング、低電力消費のデバイス、量子コンピュータなどを可能にし、グリーン社会やIT社会の発展を支えます。これら超伝導の不思議とマジックについて、わかりやすく紹介します。

[2]「量子コンピューターを作ろう」

講師:中村泰信
理化学研究所量子コンピュータ研究センター センター長、東京大学大学院工学系研究科 教授

講演の概要:
量子コンピューターは、量子力学という物理学の基本法則に従って動作し、これまでのコンピューターにない優れた性能を発揮する新しいタイプのコンピューターです。これを使うと、スーパーコンピューターが苦手とするような科学計算を効率的に実行することができ、物理・化学・材料・創薬・エネルギーなど多くの分野に、学問的にも社会的にも飛躍的な発展をもたらすと期待されています。量子の世界では、量子重ね合わせや量子もつれという一見不可思議な状態を利用することで、一種の超並列計算が可能になります。しかし量子の性質を最大限に引き出すためには、雑音を極限まで取り除いて精確な制御をする必要があります。ここで低温の世界が重要な役割を果たします。熱揺らぎの影響を抑えることで初めて、量子の世界特有の振る舞いが見えるように、また利用できるようになってくるのです。本講演では、超伝導電気回路の上で実現する量子ビットとそれを用いた量子コンピューターの実現例についてお話しします。まだ開発が始まったばかりの量子コンピューターは、将来皆さんの中から一緒に研究に取り組んでくれる人が現れるのを待っています。

主催 第29回低温物理学国際会議、日本物理学会、日本学術会議、IUPAP
共催 応用物理学会、北海道大学工学研究院、北海道大学理学研究
後援 北海道、札幌市